「わが社の強みは何かと聞かれて、ひとりの社員は『技術力がある』と。ところが、べつの社員は『営業力だ』、またべつの社員は『取引先のネットワークだ』って言うんですよ。驚きました。それぞれ社員のなかで意識がまちまちなんですから。わが社の中にいる社員がこんな調子では、外から見る人はわが社がどんな会社なのか、さっぱりわからないでしょうね(笑)」
これは、とあるメーカーさんのお話。他人事の笑い話ですませてはいけないよ。気づかないだけで、あなたの職場でも案外と同じようなことが起きているのではないか。転職する人が増えたり、働き方が多様化したりして、職場には、新卒から勤めてきた社員もいれば、中途採用の社員も、派遣の社員もいる。おまけに、かつての年功制から成果主義に人事制度が変わったという職場も多いから、社員どうし競争は激しく、飲みに行く回数は少なくなっている。情報を共有できる仲間がいない! といった職場環境に企業がなりつつあるいま、人から人へ、「わが社の強み」どころか、その企業文化を正しく受け継いでいくことがむずかしくなっているのだ。
となれば、社員のあいだに一体感も愛社精神も芽生えにくい。さらには、企業がめざす「ブランド戦略」もうまくいかないかもしれないぞ。
「ブランド」と聞くと、ロレックスの時計とかシャネルの香水とか、セレブなモノの名前が頭に浮かぶけど、企業のブランド戦略というときのそれは、ちょっと意味がちがうよね。企業のブランドとは、企業が提供する高級なモノやサービスのことではなく、その企業独自の文化や哲学から形成されるイメージのことだ。そんな企業のブランドイメージはどうやってつくる? 企業がメディアで広告や広報の活動をするだけでは無理だ。やっぱり、社員一人ひとりが自社のブランドを体現しつつ、毎日の仕事に励まないと。そうするうちに、顧客や取引先という人たちの頭の中に、企業のブランドイメージがインプットされていくんだね。顧客のほうからすると、自分の知っている営業担当者のイメージが、そっくりそのまま企業のブランドイメージにつながったりするわけだ。
ちょっとむずかしい話になったけど、ここで知っておくべきポイントは、とりあえず一つだけ。社員のあいだで自社の文化や哲学が受け継がれていない企業では、ブランド戦略をめざしても絶対うまくいかない、ということです。
スタンド・アンド・ファイトの「ブランドブック」制作サービスは、「社員のあいだで自社の文化や哲学が受け継がれていない」と危機感を持っている企業には、うってつけである。が、現実には、そのような状態になっていても気づかず、危機感など持ちようがない企業のほうが多いだろうね。で、より具体的にどんな企業が「ブランドブック」制作サービスの訴求対象になるかというと、
創業5年で成功したベンチャー企業にしばしば見られるのが、社員数が増えて大所帯になるにつれ、創業めざして社長以下2、3人が手弁当でがんばっていた熱い時代が遠い昔になりつつある、そんな雰囲気。これは創業50周年の企業でも同じ。創成期のリーダーたちの話は、もう社内で語られないでしょ。でも企業は急成長したときこそ、あるいは節目の年を迎えたときこそ、ちょっと立ち止まって「わが社は何のためにつくられたのか」と、ふりかえりたいものだよね。創業のころのDNAをなくしてしまわないように(それをなくした企業が不祥事にまみれるんだよね。創業の熱い時代に悪いことしようと考えている企業はないでしょう)。スタンド・アンド・ファイトの「ブランドブック」制作サービスは、創業DNAを書き残して社員に配布、そして企業文化を意識づけされた社員によって、ブランド戦略へとつなげていくものなのだ。
ひと昔前、企業でCI(コーポレート・アイデンティティ)活動がブームになったころ、ブランドブックも華々しくデビューした。でも、当時のブランドブックはデザインにばかり凝っていて、中身はすっからかん、というものが少なくなかった(らしい)。わかるようでわからないカタカナ言葉があふれていたり、社員に「ああしろ、こうしろ」という規則ばかりが並んでいたりした(そうだ)。そんな内容を読んでも社員はおもしろくないよね。けっきょく、せっかくのブランドブックは、買い集めたのに開かないままの受験参考書と同じ運命をたどる羽目になったのだった。CIブームの終焉とともに、ブランドブックも忘れられていった。
同じ轍を踏まないように、スタンド・アンド・ファイトのブランドブックでは、内容にストーリー性をとりいれ、簡潔で客観的な「社史」のスタイルで1冊にまとめていく。スラスラ読みやすくておもしろい、だけど物語の力で大事なところがスッと頭に入るような本にしたいもんね。
たとえば、30ページ程度のブランドブックなら、
という工程をすすんで半年程度で出来上がり。全体の構成としては、創業メンバーたちが事業化に向けて知恵を絞り、熱い努力を重ねていくところからストーリー展開して、
などのポイントを盛り込みながら、社史の物語を描いていく。スタンド・アンド・ファイトでは最近3年のあいだに、メーカー、不動産、金融機関など、7件の社史・記念誌の制作をしてきたので、取材・執筆から編集・デザインまで、その道のプロがノウハウを蓄積している。「プロジェクトX」じゃないけど、大成功と大失敗の両面のエピソードが人間臭いタッチで描かれた社史の物語は生半可な小説よりおもしろいし、それを読んで得られる企業独自の哲学や文化は社員全員の「共有知」となり、やがて全社でブランド構築の土台となるはずなのだ。
もしかして、「わが社は自社ブランド製品がないから、ブランド戦略は関係ない」という企業もあるかもしれないので、最後に注意書き。
企業のブランドとは、さっきも言ったように「商品ブランド」のことではなく、顧客や取引先の頭の中にあるイメージのことだ。実際、自社ブランド製品を持たなくても、世界中の顧客にブランドとして名を知られている中小企業だってある。たとえば、大手医療メーカーの依頼で「痛くない注射針」を開発した岡野工業さん。小さな町工場でありながら、自社の企業ブランドで仕事を受注しているといっても過言ではない(と、2004年の『中小公庫レポート』に書いてある)。
また、ベストセラーになった『自分の会社をつくるということ』(ダイヤモンド社)という本の中で、著者の経沢香保子さん(トレンダーズ社長)はこんなことを言っている。
「信用力がなければ、なかなかものは売れません。それではその信用力ってどうやってつくるのでしょうか。ここでいう信用力とはブランド力と言ってもいいのですけれど、中小企業って、結局ブランド次第だと思います。
中小企業というと、どうしてもまだ下請けのイメージがありますが、これからの中小企業はキャラが立っているというか、ユニークで、ほかでは手がけていないことをやるという特色を持った存在であれば生き残れると思います」
何百人、何千人の社員を抱える大手企業にくらべると、中小企業は人数がすくないぶん、社員一丸となる雰囲気をつくりやすい。その意味でも、ブランド戦略は中小企業にとってトライしなくちゃいけない、いや、トライしなくちゃ損の経営課題といえるのだ。
スタンド・アンド・ファイトで編集制作した企業の社史/記念誌です。
(2009年4月まで。企業からの委託先は日経事業出版センター)
A4サイズ、オールカラー、30ページ程度の参考価格です。企画・編集・取材・原稿・デザイン・校正の費用を含みます。写真撮影・印刷・製本・発送代は含みません。制作の部数などにより別途お見積りします。