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谷隆一の「僕だってこんな本を読んできたけど…」

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『ウェブはバカと暇人のもの』 中川淳一郎

2009/07/30

現場の生の声に説得力。
ブログをやる前に読めば良かった・・・

「本」をテーマにブログを書いていこうと決めてから、妙に職業意識を持って書店を回るようになりました。といっても、このブログで収入はないのですが......。

ともかく、そんな「目」に飛び込んできたのが、この一冊。強烈なタイトルに惹かれて、つい購入していました。

読後に思ったのは次の2つ。

(1)この著者、よくここまで書いたなぁ
(2)やっぱ、ブログなんてやめておけばよかったかなぁ

(1)の「よくここまで」には、肯定と否定の両方の意味があります。肯定という意味では、現場の生の声が実にリアルに伝わってきたということ。この著者があげる「ネットでウケるネタ」のリストは、その経験を惜しみなく披露していて好感を持ちます。ちなみに、そのネタとは、モラルを問うもの、芸能人関係のもの、美人、など9項目です。

一方、否定の意味では、「その世界で生きている人が、そこまで言っちゃいかんでしょ」という感想です。揚げ足取りや誹謗中傷、個人攻撃や情報の不法開示など、確かにネットには負の側面があるのでしょうが、その中で仕事している人なら、やっぱり、最後はその可能性を信じていないと。負の側面の列記には、事実と分かっていても、ちょっと幻滅しました。
いや、その幻滅こそが、著者の狙いなのでしょうが......。

(2)の感想については、言うまでもありません。まあ、これだけブログに関する否定要素が並べられれば、誰だって、そんな気に(一瞬は)なるでしょう。ちなみに僕がこのブログを始めたのは、サイトを運営する方に熱心に誘っていただいたからですが、実は半年間くらい、ずっとお断りしていました。理由の一番は、僕のような若輩で名もない者が何を書いたって、たいして読まれないだろうと思っていたからです。

確かに僕は、今では自分で地域紙を発行し、その中でコラムも書いています。でもそれは、発行人の責任として書いており、読者と近づきたいという思いを自分なりに表しているつもりなんです。発行人という肩書きがなければ、読者にとっては「誰この人?」で素通りされてしまうでしょう。

で、この著者が指摘しているのも、まさにその点です。つまり、「誰が書いているか」がブログでは重要ということです。

この本の中で紹介されている総務省発表の「ブログの実態に関する調査研究の結果」(2008年7月発表)にある「ブログ開設動機」によると、上位から順に、自己表現(30.9%)、コミュニティ(25.7%)、アーカイブ型(25.0%)、収益目的(10.1%)、社会貢献(8.4%)、だそうです。
 
まがりなりにも文章を書くことで暮らしている端くれとしては、書くことで自己表現をしたい人がこんなにたくさんいることに驚きます。だって、文章を書く(公開する)ことって、安易な気持ちではできないことじゃないですか。

僕が発行する「タウン通信」は現在9万5000部を新聞折込で配布しています。その読者数は、9万5000人かもしれないし、15万人かもしれない。(アンケートで回読率が高いことが分かっています)。いや、もしかしたら、ずっと少ないかもしれません。でも、どれだけ低く見積もっても、1万人は読んでいるはずです。そして、それだけの人が読んでいれば、意見が異なることは当然ありうるし、記事の取捨選択への批判だってあります。僕は過去に、インタビュー相手から訴えられそうになったことだってあるんです。

そういう立場からちょっとだけ言わせてもらうと、この本で書かれていないことが一つあるように思えて、気になりました。

それは、ブログ(ホームページ)は消せる、ということです。

この本の中でも、批判を恐れて企業がホームページの内容をころころ変えている例や、いわゆる「炎上」を受けてブログが消されたというケースが幾つか紹介されています。

その事実(そうなる経緯)を見つめ、著者は「ネットは実は自由度がない」と指摘しているのですが、僕には、受け手のせいというよりも発信者の意志のほうが問題のように思えるんです。

最近も漫画雑誌の「週刊 モーニング」で乱丁騒ぎがありましたが、印刷物は刷ってしまったらやり直しがききません。だからこそ、著者は覚悟をもって文章を書くし、何度も校正をし、何人もの人がそこにかかわっていくのです。

それに比べ、ブログの安易さは、やっぱりちょっと気になります。「誰が書いているか」が重要だというのも、まさに、そこにかかわっているのではないでしょうか。著者の意味するところとは、少し異なりますが。

なんて偉そうに指摘してしまいましたが、今や僕も、同じ穴のムジナです。始めてしまった以上は、少しでもこのブログが充実するように頑張っていくのみです。

前にも書いたように、僕はかつて「日本ジャーナリズム専門学校」の夜間セミナーに通ったことがあるのですが、その中の講師の一人に、こう言われたことがあります。

「もしあなたが日記を付けているのなら、その日記を落としたときに、拾った人が読みふけってしまうようなものを毎日意識して書きなさい」

僕には日記を書く習慣はありませんが、このブログがそんなふうになるといいな、と密かに思っています。

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