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前屋毅の「世の中通信 ひっかき傷」

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無所属ということ

2009/03/30

変ですね。
3月29日に行われた千葉県知事選挙で、森田健作氏が当選した。しかし森田氏当選そのものよりも、民主党が推薦していた吉田平氏が落選したことによる、民主党の小沢代表の進退問題のほうに話題が集まっている。

世論調査では、「小沢辞任」に6割以上が手を挙げたそうだ。秘書が政治資金規正法違反で起訴された問題で、多くの人が「小沢氏本人に問題あり」とおもっている証拠である。千葉県知事選も、そうした世論が反映した、というわけだ。

ほんとうに「反小沢=森田氏当選」なのだろうか。マスコミはこぞって、「千葉県民は小沢民主党にノーを投じた」という論調で報道している。そして小沢氏が代表を辞任しなければ次の総選挙は勝てない、という雰囲気が民主党もふくめた政界の潮流であるかのような報道ぶりである。

ちょっと冷静になって、千葉県知事選の候補者をみてみると、ちょっと驚く。なんと、全員が無所属なのだ。吉田氏は民主党だけでなく、社民党、国民新党、新党日本も推薦しているものの、党派的には「無所属」だ。当選した森田氏も、自民党県会議員の半数から支援を受けたとはいえ、これまた「無所属」でしかない。マスコミは推薦や支援の状況から「民主vs自民」の構図をつくっているが、実際には「無所属vs無所属」の戦いでしかなかった。

民主vs自民の選挙だったのか

問題は、千葉県民が「民主vs自民」として票を投じたのか、もしくは「無所属vs無所属」ととらえて投票したのか、である。少なくとも、候補者側は政党色を表にだしたくなかったのは確かだ。有権者に政党色をみせないことで、選挙を有利に戦おうとした。

そこを見抜いて「民主vs自民」として多くの千葉県民が票を投じたのなら、これは素晴らしいことだとおもう。別に民主党びいきということではなく、それほど政治意識の強い県民性を高く評価したい。しかし、やはり「無所属vs無所属」の意識のほうが高かったのではないだろうか。

選挙は無所属でなければ勝てない時代になっている、それが千葉県知事選からの実感だ。政党が存在感を失っている。とはいえ政治を動かすのは、やはり政党の力である。千葉県知事に就任する森田氏が多くの千葉県議の支援を受けているということは、自民党にがんじがらめに縛られることはなくても、その意向を疎かにはできないということである。政治だから政党と無関係ではいられない。そこまで考えて、どれくらいの千葉県民が票を投じたのか聞いてみたい。

とはいえ、千葉県知事選の結果が「反小沢」の民意であると単純に受け取ることには抵抗がある。小沢氏が辞任しようがしまいが、民主党そのものが支持されるものをもっていなければ、ほんとうに支持される存在にはなれない。それを民主党はもっているのか? 民主党だけでなく自民党は、ほかの政党はもっているのか? 日本の政治は、国民に支持されるものをもっているのだろうか?

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